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パラグアイの輸出入(ごま)

日本とパラグアイ、ゴマで繋がる関係

多くのページで触れているがパラグアイ経済における農業の比重はかなり大きい、同国の輸出の90%は農産品であり、GDPのおよそ30%を占める。もちろん全体の労働力(雇用)のうち農業関係が占める割合も大きく労働人口のおよそ25%が農業に従事されているとされている。
大規模農家が大豆を中心にしているのに対して小規模農家が主要輸出産品としているのがゴマだ。ゴマは栽培するのに細かい作業が必要となるため大規模経営に向かず小農が栽培するのに適した作物なのだ。
実は日本で古くから食べられていると感じるゴマであるが、日本は中国に次ぐ、世界第二位のゴマ輸入国なのだ。2000年前半まで、中国は日本の重要なごまの供給国であったが、中国国内の需要の急増と2004年の不作のため日本向け供給力を失うばかりでなく、他の国から大量のごまを輸入する国へ変わっていった。
次に候補として上がったのがインドとエチオピアだ。これはパラグアイのごま輸出にも大きく関係する問題であるが、日本はごまの残留農薬について許容基準値を定めている。インドとエチオピアのゴマは当時その許容基準値を上回る検査結果を出すことが出来なかった。
しかし、エチオピアでは日本の技術協力により現地での農薬の使用管理が厳格となり、出荷時における残留農薬分析能力が向上したことから残留農薬の懸念が解消し、2010年から輸入を再開された。2014年には17万トンを輸入している。

パラグアイのゴマ

前述の通り、2000年前半から一番のゴマ輸入先であった中国を失った日本はゴマの安定供給先を探しており、そこで大頭してきたのがパラグアイナイジェリアだった。
現在でもパラグアイとナイジェリアが日本へのゴマ輸出量の1位あるいは2位を独占している。一方パラグアイにとってゴマの輸出相手国第一位は日本である。パラグアイのゴマ輸出量は2008年8.400万ドル(32.500トン)に達してピークを迎えた。これがいかに大きな経済規模であるかは2014年のエチオピアとの取引量をみれば一目瞭然であろう。
しかし、ピークと書いたとおり2009年からは輸出量が減少している。その理由は日本が同年にゴマの残留農薬に対し、国際基準に比べ非常に厳しい基準値を適用した事が原因で、パラグアイを含む多くのゴマの輸入が制限されたのだ。
この頃はサブプライムローン問題による経済の先行き不透明に加え、日本でも不況の嵐が吹き荒れた事も制限を行った原因の一つだろう。当初米国発のサブプライムローン問題はパラグアイには関係ないと考えられていたがもちろん、そんな事はない。パラグアイの経済を支える、農牧畜産品輸出業者の資金繰りが困難となったのだ。
それに加えて、2008年末より続く干ばつの影響は、主要輸出品のひとつである大豆、ゴマ等の収穫量の減少を招いた。つまり、資金繰りが困難になったことによる生産性の低下、日本の基準値による輸出障壁、そして自国の気候問題によって、パラグアイのゴマ輸出量はこの年をもってピークを終えたのだ。

現在の日本における輸出入とパラグアイ国におけるゴマ栽培事情

その後、パラグアイのゴマ輸出量は2011年には36,058トン、2013年には12,357トンにまで急激に落ち込んだ。そのパラグアイ大減産の隙をついて日本とゴマの貿易を始めたのがエチオピアだ。
現在、日本は年間およそ15万トンのゴマを輸入しているが前述したとおり、ゴマの生産は手作業が多く、機械化するのが難しい。裏を返せば肥沃な大地が眠る開発途上国の重要な生産物となっている。そのため、パラグアイ、ナイジェリア、タンザニア、ミャンマー、エチオピアなどの国々がこのシェアを奪いあう形となっている。
2014年パラグアイは日本へ17,600トンのゴマを輸出をしている、2013年に比べてやや上昇したがピーク時に比べてここまで輸出が落ち込んだ背景には生産者側の問題も多く存在している。
元々パラグアイではゴマを食べる習慣はない。それはメルコスール圏内の国々でも同じだ。よって、パラグアイの小規模農家はゴマを輸出用食品として生産していたのだ。
しかし、ゴマの買取価格は常に不安定であり、小規模農家の多くはゴマの栽培に意欲を示さなくなった。それに加えて、連作による土壌の劣化、天候、技術支援の不足などが更なる栽培意欲の低下を生みだしてしまった。
その結果、ゴマの栽培面積はピーク時の生産量65,000 トン、栽培面積 100,000 ha つまり、面積に対する生産量が650Kg/haであったのに対して2012 年は 329 Kg/ha へと毎年減少を続けている。
わかりやすくいうと小規模農家が儲けの少ないゴマを作るのをやめてしまったのだ。
現在では日本のODAも支援しながらアスンシオン大学にて、より高付加価値のゴマの栽培焙煎によるゴマ製品の開発、そしてパラグアイ国内やメルコスール圏内でゴマ食の普及などを推奨するプロジェクトが進んでいる。
やはり、日本だけを意識したゴマ輸出には限界があり、先にあげたパラグアイよりも日本に近いアフリカやアジアの大頭も勘案し、今後は輸出だけでなく生産、加工した製品で国際的なゴマ生産国としての地位を確立するほかにパラグアイのゴマ生産が生き残る道はないだろう。

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