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パラグアイに投資が集まる理由(労働コスト・非製造業)

パラグアイに投資が集まる理由(労働コスト・製造業)でも確認しましたが、昨今パラグアイを取り巻く環境は変化が著しいです。
自国の経済成長もさることながら新しい投資先として南米だけでなく、ヨーロッパやアメリカなどから注目を集めているし、大統領オラシオ・カルテス氏も積極的に外国からの投資先として「安いエネルギー、若くて安価な労働力、食料」が豊富にある国、パラグアイのアピールに余念が無い事も要因の一つといえます。
今回は前回に引き続き、パラグアイの非製造業における労働コストを南米諸国と比較していきます。

特に営業職が安い、パラグアイの仕事観と内情

先のジェトロが出している資料をグラフにまとめると、製造業と同様に非製造業でもパラグアイとウルグアイの労働コストが抜きん出て低いことが見て取れます。
特にパラグアイにおいてはアパレル関係飲食店の給料はほとんど最低賃金と同じです、当然の事ながら特に専門的な知識や資格が必要ではない職業の場合、その国における人気の職種というのは給料が低いものです。
あるいは、その事業が儲かる職業・業界であればその限りではありません。そういった国の特色があるので南米の諸国では業種ごとに賃金格差が生まれていますが、パラグアイはほとんど業種による賃金格差がありません。
まさに仕事は生活のためにしている。という事をデータが表しているのだとおもいます。仕事にこだわりはなく、好きな職業に好きなように就く、なぜなら賃金に格差がないからです。

企業の根幹をなす営業職

また今回注目したいのが「営業職」に関わる給料です。日本や諸外国において会社の稼ぎ頭といえば営業職。営業職とは会社の根幹をなしている職業ともいえるはずです。なぜなら営業しなければ会社は成り立たないからです。
他人や他社との斥候が多い職業なので当然、ストレスも溜まりますがその分、給料も高い。というのが一般的な見方だと思います。それを表すように他の南米各国ではその他の業種に比べて営業職の給料は高いです。これはパラグアイの特色のひとつでもありますが、パラグアイ人は営業職が大嫌いです。
中には営業職の給料を他よりも良くしている企業もありますが、そもそも営業職の大切さや、その価値を企業がイマイチ理解していない。という事があるとおもいます。
私は法人営業の経験がありますが、ある日系人の人と話している時に、こんな事を言われた事があります。その方は新しい情報系サービスを作ろうとして、営業経験がある私に相談を持ちかけてくれたのですが、ありえない低賃金での契約を提案されました。
その方いわく、情報系サービスを作る人と、営業職についている人の給料が違うのが理解できない。という事でした。
これは営業経験者の方からみればお分かりいただけると思いますが、私もとても不思議な感覚に陥りました。例えば50ドルの価値あるものを作ったとしたら、その価値は当然50ドルです。
それを70ドルにして売ることも営業職の大切な能力ですが、70ドルを一人に売れば70ドルでしかありません、しかしこれを100人に売れば7000ドルの価値を生み出します。これこそ営業の本業であり、それが出来るから営業は給料がいいわけですね。
あるいはこんな事例もあります。携帯のプランを電話で営業する通信会社が昨今パラグアイでも増えていますが、この職についた日系人に内情を聞いてみると、売れる人は月に1500ドル~2000ドルのインセンティブがあるといいます。
パラグアイの中では、能力もコネも持っていなければ非常にいい給料といえます。
しかし、内情はとんでもなくて、すぐに辞めたといっていました。基本給が100ドルそこから10プラン(携帯+月契約)の売上を達成すると手数料が発生するという契約だったそうですが、十分な研修もなく、知識も持っていない人がいきなり会社の前に立たされて「じゃーここでコピー機10代売ってきてください」
といわれているようなものです。コピー機を引き合いに出したのは携帯電話と感覚が近いからです。「すでに持っている」「壊れていなければ新しいものは必要ない」「競合が多い」などが似ていますね。
恐らくこの企業の離職率はとんでもなく高いでしょう。しかし、実際に稼いでいる人もいるわけだから、その事例を引き合いに出されてまた応募者が増える。という悪循環が繰り返されていると思います。
この章のまとめをすると、パラグアイでは営業職という仕事の価値が認識されておらずひどい内情で離職率のとても高い職業だといえます。

パラグアイとウルグアイ、投資に向くのは?

他の南米諸外国に比べると似通っているパラグアイとウルグアイですが、製造業ワーカー賃金には大きな違いがあります。一つは単純に賃金差がみられます。もう一つはウルグアイは他の非製造業に比べても賃金が高いところです。
この調査では出てきていませんがパラグアイとウルグアイは国の内情も似通っています。例えば、双方とも主要産業が農業ですし、チリなどに比べて鉱山資源にも乏しいです。あえて違いを言えばウルグアイのほうが川や立地条件が幾分いい事、それから現在デフレが進み物価の上昇が見られることぐらいでしょうか。
しかし、ウルグアイでは職業による賃金格差は生まれているわけなので、ウルグアイのほうが労働環境はいいのかもしれません。製造業ワーカーの賃金だけみるとブラジル、アルゼンチンと同様ですから、ウルグアイの一般労働者からみると、人気の職業といえるでしょう。
ちょうど、今の中国やベトナムのような状態です。国の経済が上向いてきているのでその分、従業員の給料を上げているということでしょう。そうすると、やっぱり進出や投資を考える企業からみればパラグアイは天国といえます。
製造業の労働コストでも触れましたがパラグアイ人のおよそ40%近くは最低賃金で働いているといわれています。その結果、最低賃金の上昇が大きな関心ごとになるわけですが、これは反対にみれば労働者全体の40%の賃金を国が操作できるという事です。
これに関しては次回のテーマ「パラグアイに投資が集まる理由(労働環境・法制度)」で確認していきましょう。
私が思うパラグアイへ投資する理由はやっぱり労働力の安さだけではないと考えます。労働者に対する法律もパラグアイは非常にシンプルですし、何よりも国の労働コストやグアラニーという通貨の「安定性」がとても重要になります。
特に、比較対象となるのはアルゼンチンとブラジルだと思います。例えば、アルゼンチンは通貨が四六時中、変動し、闇レートも横行しています。あるいはブラジルの法制度は州毎に異なる税金が掛かり、従業員を雇うのもやめさせるのも複雑な手続きが必要です。
特にブラジルコストと呼ばれるこういった煩雑さがブラジル側からパラグアイへ進出する。あるいはブラジルから企業を移転させる理由になっているといいます。

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