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パラグアイの雇用制度について

パラグアイの雇用制度について見ていこう。

雇用制度はパラグアイへの移住または、ビジネスで訪れる際に必ず押さえておきたい項目だ。

もちろん国が代われば制度も代わるがパラグアイでビジネスをする場合に頭に入れておかないといけないIPSという制度を中心にみていこう。

最低賃金

パラグアイでは、最低賃金が法的に定められている。この最低賃金をめぐってはいつも国と労働者が争いをしている。

日本と異なりパラグアイでは最低賃金が持つ意味は非常に大きい、多くの学生がアルバイトを始めるのも最低賃金であるし、世帯主が最低賃金の給料で仕事している事も多い、2013年頃の記録によると人口のおよそ30%が最低賃金で生活している。

そのため、最低賃金が上がるか上がらないかは死活問題なのだ。およそ2年に1度または1年に1度の割合で最低賃金は上昇しているが、現在は2.041.123Gs. 2018年7月より、2.112.562Gs.が最低賃金である。米ドルに換算すると約350$となる。

パラグアイの物価は安い安いと多くのサイトで言われているが近年ではそうでもない、確かに食事を取り、仕事をして、眠るだけの生活をしていればこの金額でもやっていけない事はないが、実際の生活では家計を逼迫する経費が出てくることは容易に想像が出来ることだろう。

IPS

雇用制度を説明する上で、IPSの話は欠かせない。日本は雇用形態に応じて様々な福利厚生税金が変化するがパラグアイでまともな職に就こうとしたらこのIPSに加入できるか出来ないかは重要な項目なので注意しよう。

この制度は雇用主が16.5%、被雇用者が9%の費用を支払い、医療と年金をカバーするという制度である。

これからパラグアイで仕事を見つけようと考えている人は提示された給料がIPS込なのか、IPS抜きなのかは絶対に確認しよう。IPSに被雇用者を加入させるのは法律に定められた雇用主の義務ではあるが、それが守られていない事は多くある。

IPS込みで雇用されたらそれは正規雇用といえるだろう。逆にIPS抜きで仕事をする時はアルバイトであると認識しよう。アルバイトの場合、有給も医療待遇もボーナスも年金もでない。

正規雇用の恩恵(有給・賞与)

パラグアイでも労働基準法はあるので、正規雇用の場合はこの法律が適用される。では法に則った有給・賞与についてみていこう。

まず、有給であるが、正規雇用された状態で働き始めてから1年間が経過すると有給が発生する。1年から5年未満の連続勤務で12日間、5年間から10年未満の勤務で年間で18日間、10年以上の連続勤務で30日間の有給が認められている。

日本では取りづらい有給であるが繁忙期を避けて有給を使う事に嫌な顔をするパラグアイ人は存在しない。それは被雇用者の当然の権利であると誰もが考えているのだ、月の半分を休んでも給料が出るのだから使わない手はないだろう。

なお、有給を消化しなかった場合は差額を年末に精算することになる。

その他、女性であれば18週の産休、男性も2週間の育休が法律上認められている。

賞与は、組織により様々であるが、法律上は1年に1回(12月)は被雇用者に支給しなければならないとなっている。もちろんそれが年に2回の組織もある。なお法律上の賞与は給料の一か月分だ(手取りではない。基本給である)。つまり10万の給料をもらっていた場合、12月は手取りプラス10万の給料がもらえるということだ。

IPSの恩恵(年金)

パラグアイの年金制度は企業に雇用されてからではなくIPSに加入してからの勤続年数と何歳で退職したかが重要になる。パラグアイの定年は60歳だ。

30年勤めて55歳で退職した場合、申請が受理された時点から過去36ヶ月間の平均給与の80%が年金としてもらえる。

同様に30年勤めて56歳で退職した場合、申請が受理された時点から給料の84%が年金としてもらえる。以下は60歳まで一年多く勤めると4%ずつ年金の支給割合が上がっていくことになる。59歳で退職した場合は給料の96%だ。(60歳になった時に100%になる)

つまり、年金が少なくてもいいから早く定年してゆっくりしたいという場合は早期退職が出来るということだ。ちなみに60歳まで勤めた場合は少し異なる。60歳まで勤めると過去36ヶ月間の平均給与の100%が年金として支給されるが必要勤続年数は25年でよいのだ。パラグアイは60歳まで働く事を推奨しているようだ。

なお、この情報はIPSの組織内部にある年金管理部署が提示している情報なので最新の情報が欲しいときはIPSのホームページを検索しよう。

IPSの恩恵(医療)

IPSへ被雇用者を加入させる時に話題になる事がある。それは首都アスンシオン以外ではIPSの恩恵が少ないということだ。

IPSに加入すれば無料で医療が受けられるというのは再三伝えてきたが、IPSで無料になるのはIPSが管理する病院だけなのだ。

当然、医療のページで紹介している私立病院はどのようなサービスを受けても料金を支払わなくてはいけない

そしてこのIPSに加入している病院というのはアスンシオン近郊にそのほとんどがある。つまり、自分が地方に住んでいる場合。近くにIPSの管理する病院があればいいが、それが無いと診察を受けにアスンシオンまで上がってこなくてはいけないのだ。

これにより、IPSへの加入率はアスンシオンから離れるとどんどんと下がる。これが地方はIPSの恩恵が少ないといわれる所以だ。

そうは言っても市立の病院にかかるよりは、公立の病院の方が経費面でも負担は少ないため、労働者側としては、医療と年金が保証されるIPSは重要な面である。

以上のようにパラグアイの労働制度について説明をしたが、ページの冒頭でも伝えているようにIPSへ加入させる事による負担を考えて、雇用主はIPSへの加入を嫌がる傾向がある。その分経費もかかるし、新規の場合、加入のために健康診断書の提出が義務付けられるなど面倒な手続きが多いのも確かである。

労働者側としては仕事を探す時は確認を怠らないようにしよう

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